制度の経緯

水素ガス吸入療法は先進医療でしたか

心停止後症候群を対象とした水素ガス吸入療法は、厚生労働省の先進医療Bとして慶應義塾大学病院から申請され、実施されていました。ただしこの臨床研究は令和4年3月23日付で取り下げられており、いま先進医療として行われている水素ガス吸入療法はありません。このページでは、厚生労働省の資料で確認できることだけを並べます。

本製品は医療機器ではありません。ここでは制度上の経緯だけを扱い、家庭用の水素吸入器の作用については述べません。

制度の位置づけ

先進医療Bは、効果が認められた治療という意味ではありません

先進医療は、保険が使える治療と保険外の医療を併用できるようにする「保険外併用療養費制度」の中に置かれた仕組みです。厚生労働省はこれを、保険給付の対象とすべきかどうかを評価するために必要な療養と説明しています。効果が確立したから認められた治療ではなく、これから評価するために行う試験という位置づけです。

先進医療Bは、その中でも未承認の医薬品や医療機器を用いるなど、慎重な取り扱いが必要な区分にあたります。実施できるのは厚生労働省に届け出て認められた医療機関に限られ、患者さんが医師の管理下で受けるものです。機器を購入して自宅で行うものではありません。

研究の中身

対象は、救急で運ばれた心停止後の患者さんでした

厚生労働省の資料に記載された技術名は「院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法」、適応症は「心停止後症候群」です。告示番号は18、申請医療機関は慶應義塾大学病院でした。街なかで心臓が止まり、救急で運ばれた患者さんを対象にした研究です。

使われたものも、家庭向けに売られている製品ではありません。資料には、4%水素・96%窒素のガス、ガス流量解析装置VT MOBILE、流量調整器YR-90がいずれも未承認として挙げられ、人工呼吸器Servo Sと酸素ガス分析装置が適応外使用として挙げられています。人工呼吸器につないで投与する形の研究であり、鼻から吸うタイプの家庭用機器とは投与の方法そのものが違います。

この技術が告示された正確な年月日は、当サイトが確認できた資料では特定できませんでした。確認でき次第このページを更新します。

終わった理由

効果が否定されたのではなく、症例が集まらずに中止されました

取り下げは、厚生労働省の第132回先進医療技術審査部会の資料に報告されています。受付日は令和4年3月23日です。予定症例数360例に対して登録症例数は73例で、研究実施計画書にあらかじめ定めた中止基準に該当すると判断され、認定臨床研究審査委員会が中止を承認したと記載されています。

症例が集まらなかった背景として資料が挙げているのは、新型コロナウイルス感染症の診療対応です。救急蘇生で気管挿管を優先するといった治療上の変化が起き、面会制限のもとでは書面による同意の取得にも難渋した、と書かれています。効果を否定する結論が出たという記載はありません。同時に、効果が確かめられたという記載もありません。試験は結論に至る前に終わっています。

厚生労働省が公表している先進医療の実施医療機関の一覧(令和8年8月現在)にも、この技術の記載はありません。したがって「いま先進医療として行われている」と書くことはできません。

家庭用との違い

この研究を、製品の裏づけとして扱いません

この臨床研究と、ご家庭で使う水素吸入器は、制度の上でも中身でも別のものです。研究は救急の現場で、医師の管理のもと、未承認の医薬品と医療機器を用いて心停止後の患者さんに行われました。フレスカを含む家庭用の水素吸入器は医療機器ではなく、疾病の診断・治療・予防を目的とした製品でもありません。

そのため当サイトは、この研究を製品の説明に持ち込みません。「先進医療で研究された技術です」という書き方は、対象も投与方法も制度上の扱いも違うものを重ねて見せることになり、読む方の判断を誤らせます。機器そのものについて言えることは、PEM方式と酸水素ガスの違い安全設計のページに書いてある範囲に限られます。

このページの立場

都合の悪い事実を落とさずに書いています

「水素ガス吸入療法 厚生労働省」と調べる方は実際にいらっしゃいます。ところが、2022年に取り下げられたところまで書いている情報は多くありません。古い記事だけを読むと、いまも先進医療として受けられると受け取ってしまいます。

当サイトは製品を紹介して紹介料を受け取る立場です。その立場だからこそ、製品に有利な書き方をせず、公的な資料に書かれていることだけを載せることにしました。判断の材料になるよう、参照した資料は下に並べています。

出典:厚生労働省「第132回先進医療技術審査部会 先進医療Bの試験終了に伴う取下げについて」 mhlw.go.jp/同「第44回先進医療技術審査部会 技術内容概要」 mhlw.go.jp/同「先進医療を実施している医療機関の一覧」 mhlw.go.jp(いずれも2026-09-14 閲覧)

よくある質問

先進医療との関係でよくいただく質問

水素ガス吸入療法は、いまも先進医療として受けられますか

受けられません。心停止後症候群を対象とした水素ガス吸入療法の臨床研究は、令和4年3月23日付で取り下げられました。厚生労働省が公表している先進医療の実施医療機関の一覧(令和8年8月現在)にも、この技術の記載はありません。

取り下げられたのは、効果がなかったからですか

厚生労働省の資料に書かれている理由は、症例が集まらなかったことです。予定していた360例に対して登録が73例にとどまり、研究実施計画書にあらかじめ定めた中止基準に該当したため、認定臨床研究審査委員会が中止を承認したと記載されています。背景として新型コロナウイルス感染症の診療対応による医療環境の変化が挙げられており、効果を否定する結論が出たという記載はありません。

家庭用の水素吸入器で、同じことができますか

できません。この研究は救急の現場で医師の管理のもと、未承認の医薬品と医療機器を用い、人工呼吸器につないで行われたものです。家庭用の水素吸入器は医療機器ではなく、疾病の診断・治療・予防を目的とした製品でもありません。